２００６年９～１０月

２００６年９～１０月に観た芝居

スウィート・チャリティ　　エンドゲーム　　夏の夜の夢

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2006年10月16日
劇団昴　『夏の夜の夢』
巣鴨「三百人劇場」

　私の好きな演目を、私の好きな劇団が、もうじきなくなってしまうという劇場でやるのだから、観にいかない手はない。６人で観にいった。６列下手寄り２～７番。
　舞台床中央に白い円。それを囲むように、白い円柱が８本ほど立っている。左右のは高く、中央奥のは低い。白い円柱と見えたのは、実は梁に白い紙かプラスチックを張った、言わば「行燈」で、森の中の場面などで内側に赤や青の光が灯る仕掛け（美術：演出も手掛けた三輪えり花、美術補：岡田志乃）。基本的にこの一杯飾りで、時に幕を下ろして幕前で演技をするなどしながら芝居は進行する。
　第一幕第一場、ヒポリタを「求めるに剣をもってした」というシーシアスではあるが、既に両者の間には和解が成っていて、今はヒポリタも婚礼を待ち望む体…というのがたいていの演出だ。が、今回のヒポリタ（タイターニアと二役、ぱっちりした目の印象的な美人・松谷彼哉）はいまだ全く気乗りしていない様子。半ば諦めたかの如く憂鬱そうに「新月が銀の弓さながら式の夜を見守ってくれるでしょう」と吐いた後は、シーシアス（オーベロンと二役、金尾哲夫）の台詞のここかしこを聞いては眉を顰め、赤いショールで口を覆う。これはなかなか新鮮だ。
　同場で登場するイジアス（短髪にした小山武宏＝『アルジャーノンに花束を』のニーマー教授）は、御前にも拘らず怒りに任せてライサンダー（中西陽介）を鞭で引っ叩いたり、「君は親父さんのお気に入りだから親父さんと結婚したらいい」と言われてカッとしたデメトリアス（岩田翼）がまたライサンダーを殴り倒したり、ここアセンズはどうやら暴力が支配する世界らしい。男性優位社会の暴力によって服従を強いられるヒポリタとハーミア（ちょっと釣り目の米倉紀之子）、二人の境遇の共通性がはっきりと浮き上がった。だから、最後も、シーシアスの台詞が終わらないうちにヒポリタは一人憤然と退場する。
　幕開きがこう悲劇調なだけに、同場最後のヘレナ（長身の湯屋敦子）の独白が妙に上滑りな感じがした。湯屋は湯屋で悪くないのだが、先ほどのシリアスな調子からすると、全体のバランスが取れていないとの印象。
　同幕二場は、客席通路を通って職人たちが賑やかに登場する。クインス（やなせさとる）が喋ろうとした瞬間、それを遮って喋り出すボトム（牛山茂）。ここはわかっているようでいて実際ちゃんと演出されている舞台は少ないのだが、今回のはきちんとタイミングが計られている。ボトムの「厳然たるかな岩石」云々の滑稽な台詞は、フルート（奥田隆仁）がギターで伴奏することで、芝居がかった韻文らしさがよく出た。
　二幕、森の場面では、時に応じて「木」に扮した役者が幾人か出る。木といっても緑の葉を付けた如何にも木らしい木ではなくて、白い衣裳、頭の上と両手に何やら花篭みたいなものを載せた、オブジェ風。それが風に震えるモビールさながら、ゆらゆらと揺れたりして、幻想的な雰囲気を盛り上げる。
　妖精たちも、皆、白い衣裳。汚しを入れて不気味さを醸すのが最近の流行だと思うが、今回のは皆こぎれいで、美しい出で立ち。小太りでちっとも軽快でないパック（フィロストレイトと二役、平田広明）は、去年観たRSCのGregory Doran演出のパックにも似るか。
　そこへ左右から妖精の王と女王が登場。オーベロンは、緑の葉をあしらったパラソルを差してもらった上、裾の長いドレスの若い女性の妖精三人にキャッキャと囲まれて、キャバレーで調子よくなっちゃった社長さん風。斜めになった王冠が、これまた酔って鉢巻きみたいに頭に結んだネクタイ風。タイターニアの方は、キャスター付きの寝台に乗って運ばれてくる。寝台は下にダミーの大きな車輪が付いている他、上には蛇腹で開閉できる天蓋。赤やピンクの花をあしらったパラソル。その寝台に一緒に乗っているのが、原作では台詞で語られているだけのインドの取り替え子。それもGregory Doran演出のような人形ではなくて、ややぽっちゃり系の大人の役者（渡辺慎平？）。これはちょっと無理がある。
　タイターニア退場の際は、オーベロンお付きの女性の妖精たちもそちらにくっついていってしまい、オーベロンは一人残される格好。そこで腹心のパックを呼ぶことに。パックが例の「浮気草」を、一束ではなく、肩から提げた鞄一杯摘んでくるのが、何の演出意図があってかは知らぬが、異例といえば異例。
　二幕二場、妖精たちがタイターニアに歌う子守唄は美しい。大勢での踊り付き。「女王様がお休みなさる」の箇所の、合掌した手を左頬に添え体を左に倒す振付がちょっといい。妖精役の中では服部幸子が美人だ。歩哨を一人置くに当たり、妖精たちが俄かにじゃんけんをするのも御愛嬌。
　三幕一場、ロバ頭のボトムに惚れ込んだタイターニアが、妖精たちを呼び出してボトムに挨拶するよう命ずるくだり。妖精たちはここでは、皆、男優なのだが、凄みの利いた声を出してボトムをちょっと震え上がらせる。まぁそれはいいとしても、後の四幕一場で、辛しの種役の遠藤純一が巨漢であることをネタにして、彼が飛び跳ねる度に周囲の役者がよろけるといった趣向は、繰り返されるとちょっと鼻白んだ。
　三幕二場、惚れ薬を塗る相手を間違えたと知った後、改めてデメトリアスに薬を塗り、彼が目覚める場面。彼がハーミアを見てしまいそうになるところを、オーベロンが自らの上着の裾を広げて視界を遮り、ボトムがヘレナをデメトリアスの方へ転がす。その一瞬の連携プレイが愉快だ。
　四幕一場でオーベロンとタイターニアが揃って退場する際、「道々うかがいましょう…どうしてそんなことになったのか」と言いながら、タイターニアがオーベロンの胸を小突くか、襟を掴むか、そんな仕草を見せた。真相がわかればもうひと悶着ありそうな予感に満ちたこのくだりは面白い。
　「木」による群舞で時間稼ぎをする間に着換えた金尾と松谷が、宮廷人たちを引き連れて再びシーシアス＆ヒポリタとして登場。ヒポリタはまだ心にしこりを残していそうだが、久々に遠出をし、猟への期待感とも相俟って、すっかり森の美しさに魅せられている…といった様子。若い四人の恋人たちの話を聞いた後、シーシアスがイジアスの訴えをきっぱり退け、愛し合う二組の男女の結婚式を提案するや、ヒポリタは恐らく初めてシーシアスに感服した面持ちで、自分から彼に寄り添った。ここら辺を含めて、この演出ではヒポリタの心理の動きをなかなか丁寧に描いているとの感。
　一幕からずっと周囲に立っていた円柱、五幕ではその円柱の向きをくるりと変え、白い紙だかプラスチックだかを張った側を背にし、それまで裏側にしていた部分をこちら側に向けると、背もたれのずいぶん高い椅子に早替り。背もたれはそれほど高くはないが同様のデザインの椅子が他に６脚ほど出て、公爵夫妻や若い四人がそれらに座る。床には一面赤やピンクの花々。
　「ピラマスとシスビー」で特筆すべきはフルート＝シスビーか。とてつもなくグロテスクなシスビーが最後の最後までドタバタの限りを尽くすというのがたいていの演出だが、今回、ポニーテールに水色のワンピース姿の奥田は、ほっそりとした手足の美しさとも相俟って、なかなかの女形ぶり。最後は、恋人の不慮の死を悼んで自害する女性を、ずいぶん真面目に演じた。それで公爵も思わず涙した挙句、報奨金を振舞うという趣向。
　この作品は笑わせどころがたくさんあり、カナダやイギリスで演出を学んできたという三輪が国内外で観てきた舞台の面白いところをきっとあれこれ取り入れている（実際、これはあれから？という箇所がいくつかあった）のだろうし、確かに面白かったのではあるが、正直に言うと、若い四人による森でのドタバタや職人たちのてんやわんやが、ちょっと滑っていたように感じられてならなかった。昴という劇団を私はとても高く買っているので、その期待が大きすぎたせいだろうか。牛山など、彼の本当の力を発揮したら、ボトムをもっともっと面白く出来たはずだと思うのだが。
　最後に、プログラムについて一言。プログラム中、「ロンドンで観た３つの『夏の夜の夢』」と題する記事が寄せられているのだが、そこに野外劇場を擁するロンドン市内の公園として「レジェント・パーク」なる名前が紹介されている。しかし、どう考えてもこれは「リージェンツ・パーク」（Regent's Park）の間違いだろう。オープン・エア・シアターに言及した記事内容からも、同ページに掲載された写真からも、これは確実だ。どうしてこんな初歩的な間違いがそのまま放置されて活字になってしまったのか、ちょっと理解できない。

⇒　シェイクスピア作品別劇評一覧

2006年９月25日
『エンドゲーム』
三軒茶屋「シアター・トラム」

　サミュエル・ベケット（1906-89）作、Endgame （フランス語名Fin de partie ）。10年前、ロンドンのドンマー・ウェアハウスという小さな劇場で、これを観た。今回、佐藤信の演出（美術も）でやるというので、見比べてみたいと思って前売券を買った。Ｈ列３番。下手寄り。
　床も天井も壁も灰色一色の舞台。左右の壁は奥に行くにつれ中央に迫り、ちょっと遠近感。左右の壁の奥の方の高い部分にそれぞれ小さな窓。窓を開ける場面でも、その外は観客席からは見えない。奥の壁と天井との間に隙間があり、裏から眩い白光。上手の壁と床との境からも白光。その壁には手前にドア。そのちょっと奥に額が掛かっている。天井から照明のソケットがぶら下がっているが、電球はない。舞台下手寄り手前に金属製の大きなごみバケツ２ヶ。
　灰色に統一された舞台が、きれい過ぎる印象。もちろんこれはリアリスティックな舞台ではなくて、抽象化された空間であり、観客はここを好きにイメージしたらいいのだが、ロンドンで見たやつが倉庫のような（あるいは劇場の空間そのものだったのかもしれないが）暗い陰鬱な舞台だった為、それと比べて、妙に明る過ぎる感じがしてしまうのだ。
　それと、え？と思ったのは、客電を落とさずに進行すること。ハム（手塚とおる）の「お話」の前くらいに急に客席も暗くなり、「お話」の間、エフェクトマシンで奥の壁にいろいろな光と影の模様が浮き上がるのだが、その後、何かの台詞でまたカッと客電が入り、終演までずっとまた客席も明るいまま。演出意図よくわからず。
　クロヴに東京乾電池の柄本明。感情が乗り過ぎて（つまり如何にもクロヴらしく投げやり過ぎて）台詞が不明瞭。ところどころ聞き取れない。一方、手塚のハムは、台詞が明瞭で聞き取りやすいのはいいのだが、特に最初のあたり、ちょっと棒読みっぽい。
　ごみバケツから顔を出すナッグに三谷昇。ちょっと不気味でちょっと滑稽で。いい味を出している。ネルに渡辺美佐子。７年前の『化粧』で観て以来。こんなちょい役でもったいない。

　ロンドンで観た折のメモが残っていたので、参考（？）までに以下に貼り付けておきます。

London版メモ
Donmar Warehouseという名の通り、倉庫みたいな劇場。演技空間を三方から囲むようにして二層の客席。僕の座席は一階のＢ８。僕はThe London Theatre Scene （四年前Theatre Museumで買った）所載のseating planを予め見て行ったからすぐ座席が分かったものの、ここの座席は番号が振ってあるばかりで、どこが何列やら表示がないので、自分の席が分からずに困っている人が結構いた。　8:00開演。時々、くすくすっという笑いが起こる。ほんまにおもろいんかい、こんなんが！という気で見ていたものの、最後の方、だんだん引き込まれる。役者の演技力か。特にClov役Stephen Dillane。怯えたような、苛ついたような、その動き。それに、どこまでがこの現実に倉庫みたいな劇場なのか、どこからがこの劇の為に作られた倉庫みたいな空間なのか、なんぼ目を凝らしても分からない（Designed by Rae Smith）。すると、自分たちまでもが、終末を迎えたらしい世界に取り残されて、この惨めな廃屋か核シェルターか何か知らないけれど、そんな所へ閉じ込められている気になって来る。窓の外にどんな荒地が、どんな海原が広がっているのだろうという気になって来る。　終盤のHamm（Alun Armstrong）とClovとのやり取り、息詰まるまさにendgame。こういう極限状況を作り出して、その中での人間心理を探究する鋭さという点に関しては、やはり流石と言うべきか。戯曲を読んだ時には気が回らなかったが、Clovが持って来た目覚まし時計の音、劇場内に満ち、終末が刻一刻迫っていることを嫌が応でも意識させられる。Beckettがこうした実際の効果まで考えた上で時計を導入したのなら、やはりこれも流石也。　ゴミバケツから上半身だけ出して芝居をするNagg（Harry Jones）とNell（Lileen Nicholas）。特に後者は出場が一度あるきりで、後はずっとゴミバケツの中で息を凝らしていなければならない（舞台床に穴が切ってあれば別だが）から大変也。

London版メモ

　Donmar Warehouseという名の通り、倉庫みたいな劇場。演技空間を三方から囲むようにして二層の客席。僕の座席は一階のＢ８。僕はThe London Theatre Scene （四年前Theatre Museumで買った）所載のseating planを予め見て行ったからすぐ座席が分かったものの、ここの座席は番号が振ってあるばかりで、どこが何列やら表示がないので、自分の席が分からずに困っている人が結構いた。
　8:00開演。時々、くすくすっという笑いが起こる。ほんまにおもろいんかい、こんなんが！という気で見ていたものの、最後の方、だんだん引き込まれる。役者の演技力か。特にClov役Stephen Dillane。怯えたような、苛ついたような、その動き。それに、どこまでがこの現実に倉庫みたいな劇場なのか、どこからがこの劇の為に作られた倉庫みたいな空間なのか、なんぼ目を凝らしても分からない（Designed by Rae Smith）。すると、自分たちまでもが、終末を迎えたらしい世界に取り残されて、この惨めな廃屋か核シェルターか何か知らないけれど、そんな所へ閉じ込められている気になって来る。窓の外にどんな荒地が、どんな海原が広がっているのだろうという気になって来る。
　終盤のHamm（Alun Armstrong）とClovとのやり取り、息詰まるまさにendgame。こういう極限状況を作り出して、その中での人間心理を探究する鋭さという点に関しては、やはり流石と言うべきか。戯曲を読んだ時には気が回らなかったが、Clovが持って来た目覚まし時計の音、劇場内に満ち、終末が刻一刻迫っていることを嫌が応でも意識させられる。Beckettがこうした実際の効果まで考えた上で時計を導入したのなら、やはりこれも流石也。
　ゴミバケツから上半身だけ出して芝居をするNagg（Harry Jones）とNell（Lileen Nicholas）。特に後者は出場が一度あるきりで、後はずっとゴミバケツの中で息を凝らしていなければならない（舞台床に穴が切ってあれば別だが）から大変也。

　少なくとも目覚まし時計の使い方は、ロンドン版の方が上と言える。今回観たのでは、何の音も立てていなかったから。
　それと、10年前の「僕」よ、舞台床に穴が切ってあるに決まってる！（笑

2006年９月14日
『スウィート・チャリティ』
「ル・テアトロ銀座」

　どうしても観たい…というほどではなかったのだが、ニール・サイモン脚本だというし、昨夏観た『アーネスト・イン・ラブ』を最後に宝塚歌劇団を卒業した樹里咲穂が女役で出るというので、何となくチケットを買った。９列６番。わりと前の方、やや下手寄り。
　プログラムその他によると、フェデリコ・フェリーニ監督のイタリア映画・『カビリアの夜』（Le Notti di Cabiria ）（1957年）に刺激を受けた、かのボブ・フォッシーが、旧友ニール・サイモンに脚本を頼んでミュージカル化したのが本作品・Sweet Charity。演出・振付はもちろんフォッシー。映画版（1969年）でも彼が監督を務めた。今回の舞台は、フォッシーを「勝手に“師匠！”みたいに思ってます」という川崎悦子による演出・振付。＜参考になるかどうかわかりませんが、Bob Fosse繋がりで、よろしかったらこちらのページもどうぞ。＞
　舞台中央に垂らした、ハートマークがたくさんついた細長い布が上に上がると、開演。舞台奥にピンク系の構造物。何箇所か登退場口になっていて、銀色の暖簾状のものを垂らせばファンダンゴ・ダンスホールの控室から店へと通じる出入口。スライドドアを付ければエレベーター…という風に使い回していく。可動式の階段を昇って構造物の上に出れば、二階舞台。そこからバックドロップの方へ落ちれば、湖というつもり（美術デザイン：島川とおる）。
　主人公のチャリティーに玉置成実（たまきなみ）。すごくパワフルな歌唱。これで弱冠18歳というから驚く。素顔はもっと可愛らしいのかもしれないが、舞台化粧はかなりケバイ。
　彼女の同僚のダンサーとして、ニッキーに先述の樹里咲穂、ヘレンに昨年『エリザベート』でフランツ・ヨーゼフを演じていた初風緑。二人ともタカラヅカの男役で鳴らした人たちだが、特に樹里は『アーネスト・イン・ラブ』のアーネストや『ファントム』のキャリエールの印象が強いので、今回いきなりこんな太腿も露わなミニスカート姿で、こちらとしてもちょっと気恥ずかしい。
　彼女らが勤めるダンスホールのオーナー＝ハーマンに、DJでも有名な赤坂泰彦。ちょっと見ないうちに、何か横幅が広がって、おっちゃんになったなぁという印象。声は相変わらずいい。
　たまたま遭遇したチャリティーを自宅に誘う大スター＝ヴィットリオ・ヴィダルと、アフロヘアの怪しげな教祖（？）＝ビッグ・ダディに、石井一孝。私としては、『カルメン』のエスカミリオ以来５年ぶり？　全く毛色の違う二役を楽しんで演じている感じだ。
　エレベーターの中に一緒に閉じ込められてしまったことをきっかけにチャリティーと親密になる、ちょっと気弱なオスカーに岡田浩暉。神経症の演技もいいし、遊園地のパラシュート・タワー（？）の上での熱唱はなかなか聞かせる。
　チャリティとオスカーが結ばれてのハッピーエンディングかと思えば、さにあらず。が、ダーバヴィル家のテスのような悲惨さはここにはなく、湖に突き落とされても、今度は預金通帳は手許に残った！と、飽くまで前向きなのは、如何にもアメリカっぽい。
　終演後、ポスト・パフォーマンス・トーク。ビッグ・ダディとダンサーの舞台衣裳のままの石井と樹里が登場。石井は素顔もクールな二枚目なのかと思ったが、二人ともけっこう饒舌。狙ってこの日のチケットを買ったわけではなかったのだが、得をした。

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